👊で世界を救う

自分を題材としたなろう小説を書いております。

虚無からの生還 その1

※この記事は特殊な訓練を受けた方向けです。健常者が真似すると三日くらい寝込むレベルなのでご注意ください。

 

 

 

 

二日前

歌舞伎町で酒を飲んだ後記憶をなくした俺は、終電の逝った駅を出た。24時間営業のラーメン凪で麺を啜り、小腹が満たされたところでレンタルサイクルを漕いで帰ろうとしたら、近隣のポートが全滅していたことに絶望し大宮公園でアニソンを絶叫していた。angelaのSpiralだった気がする。

 

嘆く響く 結局きつく

締め付ける 君への情熱

生ける限り 永遠の仕組み

解き明かす旅路へ

 

この歌詞がなぜか当時の俺にぶっ刺さり、謎の歌を絶叫しながら氷川参道を徘徊する生物がそこにはいた。途中本職のホームレスを叩き起こしかけるトラブルもあったが、持ち前の逃げ足の早さでその場を去り、なんとか家路につこうとしたその時あることに気が付く。

 

あれ?もう始発まで3時間しかなくね?

 

ここで俺は選択に迫られる訳です。

 

・3時間かけて歩いて帰宅する

・3時間耐えて始発で帰宅する

 

人間って楽なほうに流される生き物なんですよね、どっちが楽なのかは明白です。

 

そう

俺が選んだのは

 

後者でした。

 

酒でへべれけになってる奴の頭が正常な筈はなく、躊躇いなく野宿を選択した俺は駅から1㎞程度離れた公衆トイレを見つけるとそこで3時間籠城することを決めた。

 

野宿について必ず意識したほうがいい点がが2点ある。

それは、「雨風を凌ぐ」ことと、「地面には寝ない」ということだ。アキバでホームレスがそこら辺の公園ではなく麺屋ほん田近くの高架下でわざわざ段ボールを敷いて寝ているのを目にすると思うがアレはそういうことだ。どういうことかわからない人は百聞は一見に如かず、試しに真夏の夜に適当な野原に行って一晩明かしてみると解る。なぜ真夏の夜という指定にしたかというと、真夏以外でノンケが真似したら本当に凍死しかねないほど、地球というものは想像以上に冷たすぎるからだ。

 

公衆トイレというものは、基本的には壁と屋根があり、地面には触れず、一応鍵もかけられる点で急場を凌ぐにはそこそこ有用である。

時刻は午前2時前、深夜に身障者が来るわけもないので渡○健よろしく多目的トイレを拝借して一晩明かすことに決めた。

 

まあでも、いくら雨風を凌げるとはいえ簡単に気絶できるわけもなく、練り人権度でいえば、

 

多目的トイレ<<<<<<<<<<<<<<<深夜のよもだアニクラ<<<<深夜バス4列シート

 

くらいの圧倒的な差があるわけで、コミケの徹夜待機列程度には人権がない。定期的にドアを開閉しないと警報が鳴ったりすることもある。以前も似たような状況になり、その時は結構新しめのトイレを拝借したが、2時間程度経った時に警官5人くらいに突入されるという経験があった。まあ今回は新しくないし駅の目の前でもないし大丈夫やろ、ということで練りモードに入った。

 

午前3時を過ぎたあたりだろうか、「ばんばbbなbbなばばばbbんんばbんn」とかいう謎の音に休息を妨げられた。何者かがドアを叩きまくってるらしい。こんな時間に出歩いてる生物がまともな訳がないが、俺もこの時点で充分まともではないことに気づいてしまってやや萎えていた。しばらくして、無視したらどこかへ行ったのでまた練りに入った。

 

ちょっとした恐怖体験も交えつつ5時を迎えたので始発で家路についた。やや冷えたが、風を凌げたので凍死することなく朝を迎えられたため、安心していた。まさかこれを超える虚無を翌日に体験するとは夢にも思っていなかったが。

 

(続く)